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2012年秋 オランダ帰国後の学び合いイベント 10分スピーチ原稿 イエナプラン [教育/実践]

スピーチ原稿

・見通し(30’’)
今回のテーマとポイント、どうあるべきか、何をすべきか、具体的な話題と実践例、なぜそうあるのか(目的と方向性)、日本での取り組み紹介、まとめ・参考文献などの7点。

①テーマとポイント(30’’)
「オランダ・イエナプラン教育における対話」
「市民としての平等性に基づくコミュニケーションとしての対話」
子ども、親、先生、などの社会的関係性を「人間(或いは市民)」という平等な立場からコミュニケーションを取り合う。教室内の先生・生徒の関係はグループリーダーとグループ構成員、教室はリビングルーム(生活空間)という考え方。

②どうあるべきか(2’)
各個人が自由に発言し合えるコンディションと環境が大切。 イエナプラン(以下イエナ)における対話は、各人が一市民としての独立した平等な存在であり、それによってお互いが違う人間だからこそ尊重し合い面と向かって話をする、というシチズンシップの哲学に基づく。そのコンディションや環境づくりはグループリーダー(先生)がファシリテーター・デザイナーとして設定・調性する必要がある。補足として、教室作り等に関してはグループ全体で創っていける。
また総合的な教育の観点からも【「対話」は、自分の考えをまとめて伝え、同時に、他の人の考えに耳を傾ける場です。それは、自分一人で考えるだけでは思いつかなかった新しい見方、新しい考え方に自分の考えを照らし出す時間です。違いから学ぶ場、 違いを豊かさとみることを学ぶ場です。】(日本イエナプラン教育協会ニュースレターVol.15 リヒテルズ直子 記)と考えられる。このことが小さい頃からなどの教育で浸透していくと、各人の意見が尊重され何らかの形で全体の大きな終結点へと反映していく。これはイエナに限らずオランダ全般の教育に言える。私自身の音楽指導経験からも、特にポジティブな意見は全体に浸透しやすく、一人一人が帰属意識を高め個人もその団体の絆や能力も高まっていく、ということを実感しています。また補足として、「意見がない、出ない」というのも一つの意見として捉える。

③何をするべきか(3’)
これらは目新しい話ではなく、すでに理解をされていたり実践をされていること。しかしいざこれらに基づいて対話をしていくとすれば、私たちは何をすればよいのか。オランダのイエナプラン教育の対話方法の一端を紹介。

・サークル作り
サークル対話を実現するため(常駐が理想だが環境によってフレキシブルに可能)
実際オランダでも常駐クラスとそうでないクラスがあり、それはクラスとグループの個性による、という印象。サークルの素材やスペースも様々。

・サークル対話
各人がお互いの存在や違い、平等性を認識しやすくするため。
リーダーももちろんその輪に加わる。

・アイスブレークゲーム
グループのコミュニケーションを円滑にし、想像力を刺激。またクリエイティブな空気感を作る

・恊働ゲーム
グループ内のコミュニケーションをさらに円滑にし、お互いが知恵を出し、協力をし合う姿勢を作る
競争ではなく協奏。勝ち負けではなく、成功するかどうか。成功できることに配慮。
ボードゲームのようなものから身体を動かすアクティビティーなど多数ある

・学習への導入やインストラクションなど
主体的な学習への動機付け
新しい学習などに対するインストラクションも可能(通常はインストラクション用のテーブルが設置されていることが多い)

・様々なミーティングやリズム作り
時に集中力が途切れそうになったり、何か事があったときなどにグループリーダーはサークル対話へと招集することが出来る。これによって冷静さを取り戻したり、大きな問題を一緒に考えていく事が出来る。

④具体的な話題と実践例(2’)
まずサークルスペースは常駐されているか、すぐに作れるようになっている。
学校始業と終業はサークルで始まりサークルで終わる。始業時にはその日に話したい事や最近の出来事等を一人一人が話していき、グループリーダーは一日の見通しを話す。終業時には一日を振り返る。このときに話をしないのも一つの意見として尊重する。特定のテーマをもたないフリーの「オープンサークル」や「研究・観察サークル」「ゲームサークル」など様々な種類を作る事が出来る。
・アイスブレークゲーム
席替えやイメージキャッチボールなど。可能なら実践してみます
・恊働ゲーム
箱の中身はなんだろう?
絨毯にみんなで乗ったまま回転させられる?
目が見えないよ!
など。通常のゲームなどをアレンジすることもできます。

⑤なぜそうあるのか(目的と方向性)(1’)
開かれた社会性、市民性ある人間を育てるため日常生活と開かれた世界をつなぐ。
イエナにおける学びは「対話」→「仕事」→「遊び」→「催し」→「対話」→「仕事」・・・という循環によって構成されています。(以下スピーチ割愛部分)
「対話」は、自分の考えをまとめて伝え、同時に、他の人の考えに耳を傾ける場です。それは、自分一人で考えるだけでは思いつかなかった新しい見方、新しい考え方に自分の考えを照らし出す時間です。違いから学ぶ場、 違いを豊かさとみることを学ぶ場です。
「仕事」は、自分の力を最大限に延ばす場[自立学習]であると同時に、協力することで、お互いに一人だけでは生み出せなかったことを協働で生み出す場(共同学習)、これも、違いを豊かさとみることを学ぶ場です。
「遊び」は、社会性の発達の場、楽しむことを共有する場、私たちは皆、他者なくしては生きられないことを感じる 場です。
「催し」は、感情の共感の場、すなわち、私たちは、たった一人で生きる必要はない、苦しみも悲しみも、そして 喜びも、共有できる人がいるからこそ生かされている、これもまた、私たちが、皆、他者なくしては生きられないこと を感じる場であると思います。(同ニュースレターVol.15 リヒテルズ直子 記)

イエナは学力もまた軽視している訳ではなく、視点が異なります。生涯学習という観点から、人間性や意欲が高まればそれに基づいて自ら主体的に学び、またそれらを体験的に実現出来る環境を提供することによって深める事ができる。そしてそのことにより物事の本質を掴めるようになっていき、必然的に点数などに表される学力の部分も伸びていく、ということです。学力を先に据えてしまうと人間にとって必要な情緒的な発展が臨めなくなっていくことが危惧されます。家族、家庭が最小の社会単位ではあっても、他者との係わり合いやアイデンティティーの発展、実社会への演習はやはり学校で行うもの。それにおいて情緒的な教育やそれに基づく実践的な教育が大切です。


⑥日本での取り組み紹介(2’)
私たちは日本が成熟した社会へと成長していくための方法を「オープンモデル」、つまり時代に沿って成長していく事が出来る開かれたオランダ・イエナプランを参考に各自が「イエナ的」とは何か、ということを模索し、協会にこだわらず活動しています。その一端を紹介致します。

リヒテルズ直子女史の講演会やワークショップ
イエナカフェ開催 千葉県浦安市など
公立学校でクリエイティブに学級作りをしている人たち
ファシリテーターとして震災被災地の学校等を中心に「イエナ的」にチームビルディング
に取り組んでいる人たち

⑦まとめ・参考文献/サイトなど(1’)

世界や人間をどのように教えるか、という時代から、それらをどのように捉えてファシリテート(促進)していくか、という時代に差しかかっていると思う。何故ならば開かれた社会性や市民性は教わるだけ立場からの成長があまり多くを臨めないことに対して、世界という社会は驚くほどに開かれていて社会性や市民性を要求してくるからだ。今少しずつそこに気が付き始めた人たちが地道で継続的な活動を様々な形で展開している。革命や改革など大きなことではなく、何十年という時間をかけた開かれた未来への下準備である。様々な裏付けのもと(詳しくは参考文献などを参照)イエナプラン教育の姿により人間的な未来を感じている。またこれが絶対ではなく、私たち一人一人がこの教育プランを知り、このオープンで成長を続ける一つの教育モデルから、私たちの使えるエキスや要素を生活や仕事に取り入れていき、幸福や豊かさの種を得て育てていけることを願っています。そして大人のあり方が子どもへの最高の見本である事は変わりないと思います。



推薦サイト
リヒテルズ直子 オランダ通信
http://www.naokonet.com/

女史の各著作、同サイト内参照
「オランダの共生教育」
「オランダの個別教育はなぜ成功したのか」
「オランダの教育」
「残業ゼロ授業料ゼロで豊かな国オランダ」ほか

日本イエナプラン教育協会
http://www.japanjenaplan.org/index.html

オランダイエナプラン教育協会
http://www.jenaplan.nl/

株式会社アソビジ チームビルディング・教員研修・コミュニケーション研修
http://www.asobusiness.com/index.html

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