SSブログ

とあるマルザンナのココロの旅 ポーランド編⑦修道院の宿へ... [アルトネリコ・サージュコンチェルト]

アウシュビッツから足早にクラクフ中央駅へと戻ってきた。

帰りは先述のライコックバスで1時間30分15zl。バスの隣の座席が疲れ気味にしていた女性で、その影響を受けたのか、思わず自分も眠ってしまった。一応足元に置いていた壊れたジッパーのリュックを抱き抱えたとはいえ、海外での居眠りがはご法度である。特に何事もなかったが、気をつけておきたい。

時間に余裕もあったので早めに夕食を駅構内のポーランド料理店でとり、宿への早めのチェックインをしようとした。

ポーランド料理はあまり印象にないかもしれないが、基本的にはヨーロッパ料理に郷土料理が入るイメージだ。

お昼と同じようなチキンとポテト。
IMG_6230.jpeg

そしてワルシャワでもスープ上のものを食べたが、ピエロギを。
IMG_6232.jpeg

ピエロギはやはり、皮の固い水餃子だった。
まずくはないが、特別美味しいわけでもない。普通にまあまあ美味しく食べられるが、量が多い。
IMG_6236.jpeg
この日の宿はティニェッツ・ベネディクト修道院。ここは地球の歩き方の隅に掲載されていたもので、インターネットの予約はなく、メールでしか予約はできなかった。事前に調べようにも、ポーランド語のサイトを英語に翻訳しつつ、確かめるしかなく、メールも返信があるのか心配しながらも一応の返信で予約が確認できたので、そこに向かうことにした。

地図やサイトで確認をすると、クラクフ市内から市バス112番で30分程度行ったところであり、少し距離はあるもののアクセスは簡単そうであった。。。

そして、このワナにハマってしまった。自己責任もあるが。



さて、食事を済ませた後バス乗り場へ。



112番の市バスが見当たらない。


ひとまずインフォメーションに行けばなんとかなるだろうと考え、今日だけで数回目のバスinfoに。このインフォメーションは上の階と下の階にそれぞれあるのだが、上の階で聞くと「さっぱりわからない」と。朝と昼にそれぞれ立ち寄った時に、すでに若干の不信感はあったのもあり、嫌な予感がした。

「市バス112番はどこですか」

「ここにはない。他に行け」

やっぱり。

でも経験上ここで引き下がると露頭に迷う直感が働き、

「どうにかならないか。困っている。どこへ行けばいい」

と食い下がると、

「Tourist Information」と一言。

その辺にあるだろう、と言い追い払われた。


ちなみにポーランド人の若手の人たちは比較的英語が通じるが、いわゆるおじちゃんおばちゃんたちは苦手意識もありつつ、そもそも話したがらない。こういうタイプの人たちが相手の場合は文章で話すより単語で話した方が反応してくれやすい。

例えば、「このバスはティニェッツに行きますか?」と聞くよりも、バスに乗り込んで「ティニェッツ?」という具合だ。



さて、Tourist Infoを探せと言われ、駅周辺をウロウロ。

時間は過ぎていく。

時間もまだ切羽詰まっていなかったので、まずは自力で考え、探して見てから誰かに聞く。

これがいいのかはわからない。

最初っから誰かに聞くのが早いかもしれないが、個人的には少しは考えてから行動するのが良いと思う。もちろん良い人もいるが、正直良い人に当たる可能性は低く、大抵は日本人の感性からするといい加減で適当である。

ガイドブックには30分あれば到着できると書いてあったので、この19:30時点ではまだ大丈夫だと思っていた。

しかし、なかなかTourist Informationは見つからない。

20時も近くなり、ヤバ目になってきたので駅に戻り前からやってきた人の良さそうな警備員のおばちゃんに場所を聞いてみたところ、とても親切に教えてくれ、近くまで案内してくれた。

「この階段を上がればあるわよ」

本当に困っている時の人の親切は本当に身に沁みる。。
ありがとう、本当にありがとう!!

「ヂェンクイン・バルゾ!」と、唯一使えるポーランド語で感謝を伝え階段を上がった。



階段を上がると駅のプラットフォームに入った。
「i」の看板を見つけ、喜んだのも束の間、なんとそのinfoは時間的にやっていないどころか、看板以外跡形もなくなっていたのだ!!

唖然とした。

詰んだ。

思わずヒザが折れそうだった。アニメでは絶対に折れてるところだろうが、必死に踏ん張りかろうじて立ちつつ涙を堪えた。

人間て、心底絶望した時に本当にヒザって折れるもんなんだな、と謎の客観視を脳内に巡らせながら20時を過ぎた時計を見つめ、最大チェックインの21時に間に合わないかもしれない、と。

修道院のページには22時には完全に受付なども閉まると書いてあった。

修道院とはいえ、海外の情報はアテにならないので、連絡を入れれば22時までは入れてくれるかもしれない。

ふらふらになりつつもWi-Fiスポットを探し回ったら、今度は本当に空いているTourist Infoを発見!なんと、さっきまで夕食をとっていたポーランド料理店の近くにあったのだった。OMG...


「市バスのティニェッツに行きたい」と伝えると、その場で調べてくれた。

「52番トラムで終点まで行って、203バスに乗れば行けるわ。」と付箋にメモをしてくれて一安心をした。時間も20:30、wifiスポットも見つけ、ホテルにも遅れる旨をメールにて連絡。海外ローミングは使用していないので、電話はできない。メールを見てくれているか甚だ疑問ではあるが、何もしないよりはマシである。

唯一の不安は、市バス112番ではなかったこと。
ただ、経路を明確に示してくれたので、30分ではつかなかったとしても、辿り着くことはできそうだと胸を撫で下ろした。

ちなみに地球の歩き方にはワルシャワはトラムなど詳しく路線図などが記載されていたが、クラクフ観光に置いては必要性が少ないからなのか、バスはもちろんトラム路線図は全く載っていなかった。

駅には駅周辺のトラムやバスの路線図はあるものの、駅周辺を通らずに市街地をかするように通過するものは一切表記がなかった。そして市バス112番はそれに該当するのであった。



さて、52番トラムの場所に行ってみると本数が少なく、20分待った20:55に駅を後にした。

正直不安が募った。

もしかしたら22時にすら到着できないのでは。。。
その不安は乗車時間が増えるたびに確度が増していく。

地図的で確かめている位置として、トラムには軽く乗ってすぐにバスに乗り換えかな、というような距離感であったが、トラムの終点が全く見えてこない。結果的には30分もトラムに乗っていた。さらにはそのトラムの車内券売機がシステムエラーで壊れていてチケットが買えない。後から乗ってきた乗客も同様だったが、検札がきたらどうしようという不安もあった。


21:25 終点で乗り換えのMakiに着いた。降り立つとすぐ目の前に市バスの203が。wifiがないので自分の現在位置も全くわからない。ティニェッツのバス停から徒歩で10分あると書いてあった。

このバス、運転手が乗ってないけど、いつ出発なんだろうか。さすがにあれだけトラム乗ったんだから、だいぶ近づいたに違いない、と内心を励まし、バス車内にあった行き先表とかかる時間を確認した。「Tyniec」はちゃんとあった!infoのお姉さんありがとう!

時間は・・・「30min」

終わった。。。

徒歩も入れると確実に22時を過ぎる。

外国で時間に遅くなる意味で融通の効いたところを見たことはなかった。
おそらく文句なしで閉まるだろう。

もしもこのバスに乗って、現地へ向かい修道院へ入れなかったとすると、終バスも何もない辺境の田舎道に夜中にポツンと取り残されてしまうのではないだろうか。。。

どうする。
今から予約すっぽかして市内に戻ってホテルを取り直した方がいいのでは?
あるいは、メールを見てくれていることを祈って駆け込んでみるか?
外国では容赦がないとはいえ、そこは修道院であるし、迷える旅行者に手は差し伸べてくれるのでは?
しかし、修道院ということで22時はすでに就寝しているのでは?

様々な思考が一気に駆け巡る。

バス車内で問答をしているうちに運転手のおっちゃんが軽快に戻ってきて、あっという間にバスを発信させてしまった。もはや後戻りはできない。もしも修道院の門戸が閉まっていたら思いっきりノックをして声をかけるしかない。全くダメなら野宿か、あるいは。。夏とはいえ外気20度以下の田舎道になんの装備もなくそれはキツい。

そんな問答、いや苦悶しているうちにあっという間にTyniecへ到着した。事前に地図で調べたところ、バス停からベネディクト通りを歩いて10分。時刻は21:55。
IMG_6238.PNG
・・・走れば間に合うかもしれない!!!

一縷の望みにかけてバス停から道を間違えないよう慎重に選び、全速力ダッシュ!!
IMG_6242.jpeg
10分の道を5分で着くには普通に走ったのでは間に合わない。休んだらアウト。

民家の犬に何度か吠えられるのを後にし、走り続ける。

今思えば当たり前かもしれないが、修道院は町の高台にあった。つまりはずっと上り坂。

旅行ザックを背負って全速力を5分、めちゃくちゃキツかった。途中何度も止まりそうになった。

でも、止まったら、終わる。。

早朝から限界行動を続けて疲労しきった身体にムチを打ち、もつれそうになる足を気合いで踏ん張って走り続けた。

21:59 城門のような修道院らしきものの門が見えた。

頑張れ自分!動けオレの足!(どこのアニメだか)

22:00 開いていた門に駆け込むことに成功した...!

院内に入ったところでは人気がなかった。ひとまず受付を探して行ってみるが、真っ暗で誰もいない。

とにかく誰でもいいから人を探そう。

中庭に戻ったら幸いなことに優しそうな男の人が何か作業を行っていた。

事情を説明し、チェックインができるかを尋ねてみたところ、丁寧に「僕には何の力にもなれない、すまない。」と。

感謝を伝えると背後にあった礼拝堂から誰かが出てきた。すると、「あの僧(monk)ならきっと力になってくれるはずだよ!」と笑顔で教えてくれた。

後から振り返ってみれば「何のRPGゲームだよ」、ともツッコミたくもなるが、そんな余裕はない。必死だった。

出てきた男の人に同じく事情を説明したところ、何とかしてもらえることとなった。この旅で一番大きなため息をついたのを覚えている。

どうやらミサを行っていたらしく、その準備で外に出てきたとのことであった。

心底安心したからか、熱った身体のまま受付への道中でベラベラと心中をしゃべくりたおしていたら、

「calm」

と、穏やかに諭された。ミサを行っていることはここで聞いた。

受付を代行してくれ、名前を確認したのちにその僧が「ジョム」と穏やかに言い放った。
ジョム?なんの意味だ?と首を傾げていると再び、「ジョム」と。
最後には手を差し伸べながら「ジョン」と言った。ここで初めて名前を紹介してくれたのだとわかり、改めて笑顔で挨拶をし、感謝の言葉を述べた。

ジョンは一つ一つ丁寧に案内をしてくれ、最後にはもうすぐ中庭でミサのコンサートがあるからと誘ってくれた。

教会内のミサ以外には人もおらず、静まりかえっていたがゾロゾロと中庭へとミサの人たちが出てきた。
IMG_6244.jpeg
コンサートはミサの最後で5分程度であったが、そこには集まった人たちの「想い」がたしかに視えた。

真っ暗な自然に溶け込む町の修道院の中、穏やかな音楽にのせてそれぞれの想いが温かな光(火や照明)に昇華していく。
IMG_6247.jpeg
礼拝堂から中庭に設置されたステージに移った歌い手とパーカッション。
IMG_6243.jpeg
夜の帳が下りる中、ライトアップされた教会とステージが聖なる炎の揺らぎ、白く質素で敬虔な衣装と茨の冠を飾り立てた歌い手が静かに謳いあげる様子は、まるで天井世界で祝祭を催しているようであった。

sacred...自然と言葉がわきあがった。感覚的に感じることができた。

大変な1日ではあったが、最後にとても幻想的な体験をすることができた。それまでの俗にまみれた考えや行動がスゥっと身体の中から抜けていった。このために今日があったのかもしれない。


穏やかな気持ちになり、部屋へ。
IMG_6248.jpeg
ベッド・ソファー・質素な木の机・椅子・水道と照明。壁には木製の十字架。
IMG_6251.jpeg
ヴィエリチカ岩塩坑を出てからというもの、色々なことがあった。頭も身体も火照っていた。しかしこの部屋、天井も高く直方体の少し広めの部屋の壁面は白で統一されており、窓の外にはミサの余韻に浸る人たちが庭で穏やかに談笑している。なんというか、落ち着かざるを得ない。徐々に意識は自分の内側へと向いていった。

心を落ち着かせて自らを顧みる。

「ちゃんとしよう。ココロと生活を正して、自然にしよう。今日行けなかったところのことや、今後の行程、帰国してからのこともゆっくり考えよう。

自然とそんなことを振り返る時間となり、木製の机と椅子に身体を預けながらまどろむまで日々を反芻する。眠気とともにベッドへと入り、長い1日を終えた。





nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。